鰻のせいろ蒸しとは?うな丼と何が違うの?

鰻のせいろ蒸しとは?うな丼と何が違うの?

2025年7月30日更新

鰻料理といえば「うな重」や「うな丼」を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、福岡県柳川市にはちょっと変わった名物があります。

それが「鰻のせいろ蒸し」。蒲焼きにした鰻をご飯と一緒に蒸すというこの料理、実はその誕生には“冷えた鰻を美味しく食べる工夫”があったとか――。

そんな知る人ぞ知る逸品の魅力を、今回はじっくり味わってみましょう。

 

鰻のせいろ蒸しとは?


鰻のせいろ蒸し」は、蒲焼きにした鰻(うなぎ)をご飯の上にのせて、
せいろで蒸した、福岡県柳川市発祥の郷土料理です。


蒸すことで鰻はふっくら柔らかくなり、香ばしさに加えてまろやかなコクが生まれます。
さらに、ご飯にはタレと鰻の旨味が染み込み、一体感のある優しい口当たりが評判です。

柳川市では、お祝い事や接待の席にもよく使われ、地域の人にとっては「ちょっと特別な日の料理」とされ、地元の名店では、代々受け継がれた秘伝のタレと技で作られており、観光客にも人気のご当地グルメです。

 

なぎのせいろ蒸しの発祥(諸説あり)

 

●【本吉屋】の創業者が考案

うなぎのせいろ蒸しが誕生したのは、幕末〜明治初期です。


発案したのは柳川の老舗鰻店「本吉屋(もとよしや)」と言われていて、
冷めた鰻でもふっくら美味しくなるように、鰻の蒲焼きを、ご飯とともにせいろで蒸して

武家や富裕層への「おもてなし料理」として出したそうです。

 

●漁師料理の発展形

もう一つの説は、漁師料理です。


柳川では古くから鰻漁が盛んで、漁師たちが蒲焼きを作り、
冷めた鰻を温め直すために蒸したのが始まりという説もあります。

 

柳川に鰻を食べに行こう!

 


現在、柳川には30店舗以上の鰻屋さんがあるそうです。


柳川市観光協会が配布する「うなぎめしマップ」では、24店舗が紹介されていて、
お店ごとに味が違う鰻を巡ることが出来ます。(1食でお腹いっぱいになるでしょうが…)

柳川の有名店

【本吉屋(もとよしや)】

創業:元禄年間(1681年~1700年)
特徴:せいろ蒸し発祥の店とされ、300年以上の歴史を誇る老舗。
代々受け継がれる秘伝のタレと、ふっくら丁寧に蒸された鰻が特徴。
店舗情報:柳川市旭町69 


【若松屋】

創業:明治初期(約150年)
特徴:秘伝のタレはなんと100年以上継ぎ足し続けたもの。
店舗は大きな和風邸宅のような佇まいで、雰囲気も抜群。
店舗情報:柳川市沖端町26 


【川よし】

創業:昭和24年(1949年)
特徴:地元民からの支持も厚い、気取らない名店。
やや濃いめのタレで、しっかり味のせいろ蒸しを堪能できます。
店舗情報:柳川市三橋町下百町34-1


【日の出屋(ひのでや)】

特徴:観光エリアに近く、観光客にも立ち寄りやすい立地。
鰻は肉厚でふっくら。タレも甘すぎず上品で、初心者にも食べやすい味わい。
店舗情報:柳川市沖端町61


【御花(おはな)料亭旅館】

特徴:柳川藩主立花家の邸宅を改装した旅館・料亭。
歴史的建物の中で、庭園を眺めながらせいろ蒸しを味わえる贅沢な体験。
店舗情報:柳川市新外町1

 

まとめ


柳川名物「鰻のせいろ蒸し」は、他の鰻料理とは一線を画す、蒸しならではの優しい美味しさがあります。
せっかく柳川を訪れるなら、ぜひ地元の名店で味わってみてください。
ふっくらとした鰻とタレご飯の絶妙なハーモニーに、きっと満足するはずです。